9.2.20

グラムバングラの歌の紹介1. ラロンギティ(ラロンの歌)

1. ラロンギティ(ラロンの歌)



ラロンギティーとは、18-19世紀に生きたバウルの歌手・詩人、ラロンが115年の生涯の間に800近く残した信仰歌のこと。 バウルとは10-12世紀、仏教のサハジャ乗密教の修行僧によって始まった宗教哲学を伝える修行歌で、宗教、カースト、男女を区別することなく精神的完結を探求する民間修行者のグループ。ラロンは今も聖者として崇拝を集めており、クシュティアのラロン聖者廟には全国から多くのバロンが集まり、年に2回のラロン祭にはラロンをたたえて歌います。
ラロン・シャハ(Lalon Shah)はヒンドゥー教徒の家の生まれで、若い頃巡礼先で天然痘に罹り生死をさまよっているとき、彼の親となり師となるシラズ・シャハに出会い救われます。このシラズ氏はどの宗教にも属していない修行者であり、ラロンも世捨て人となり修行の道へ入り、バウルを歌うようになったのです。生前のラロンの元には、ヒンドゥー、イスラム教など宗教を問わず、多くの人が弟子入りをしました。
ラロンの歌の中には“身体の哲学”を歌った歌があります。ここでラロンは、“人の身体は寺院であり、その中に神が住む。より飾らない肉体にこそ神は宿りたがる”と歌い多くの人の支持を得ました。立派な寺院や神像を建てることのできない人々に自らの尊厳を説き、物に頼らない生き方の哲学を紹介したのです。ラロンギティーには抑え付けられた人々の知恵も集約されています。 (石山民子様、戸川昌彦様の文章より転載)

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